newへるす No.34
12/36

10トピックス気管支喘息は子供や若い方だけの病気ではありません このようなとき、急性の肺炎でしたら、速やかに病原を特定・推定した上で、抗生物質の投与などの治療を開始することが必要ですから、まず、胸部X線撮影を行って、肺炎を起こしていないか調べます。肺炎像が認められず、また、心不全のような肺うっ血所見もないのに前述のような症状であるならば、気管支喘息を考えます。①喘息は高齢者でも発症します わが国での成人の気管支喘息有症率(呼吸器のアレルギー様症状を有する者の割合)は20歳から79歳で約10%で、20歳から64歳にかけては4・7から6・4%、65歳以上は9・7%、75歳以上では10・9%と、高齢での発症も少なくありません。②喘息は命にかかわる病気です 「子供のころ喘息といわれても、大人になれば自然に治るんでしょ?」と一過性のもので軽い病気と思っている人がいらっしゃいます。小児期に喘息といわれた方の約半数は成人までに治るといわれますが、半数は継続します。小児期は男性に多く成人では女性に多い傾向があります。そして、高齢者では喘息による死亡が問題となっています。 わが国での気管支喘息による死亡者は1990年代までは年間約7000人でしたが、吸入ステロイド薬の普及によって、今では年間約2000人にまで減少しました。しかし、2011年に喘息で亡くなった人の88・5%は65歳以上の高齢者でした。③喘息の病態は炎症です 「以前、急性気管支炎といわれたけど…」という人も多いです。確かに咳、痰たん、喘ぜん鳴めい(ヒーヒーゼーゼー)という症状は風邪のウイルス感染による急性炎症でも一過性に認める症状です。しかし、気管支喘息もアレルギーによる気道の炎症で、気道の狭きょう窄さくと気道過敏性の亢進が引き起こされます。喘息の症状は可逆性で、普段は正常か正常に近い状態ですが、発作時に咳、喘鳴、呼吸困難の症状が出て、治療により、あるいは自然に元の状態に戻るがまた発作を

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る