食物繊維について

 新しい年を迎え、皆さまいかがお過ごしでしょうか。年末年始は忘年会や新年会など、つい食べ過ぎ飲みすぎてしまい、後悔するようなこともあるのではないでしょうか。
今月は食物繊維についてお話します。皆さまは「食物繊維」と聞いてどのようなものを想像されますか?昔はあまり健康に結び付けられなかった食物繊維ですが、近年はその有効性が認知されてきています。どのような形でどのくらいの量を摂ると良いのでしょうか。

食物繊維とは

一般的には、「炭水化物の中の多糖類で、小腸で消化できないもの」を指します。代表的なものはアミロース、セルロース、ペクチンなどです。大きく分けて水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の二種類があります。それぞれ形態に特徴がありますが、どちらも大腸内で発酵・分解されると腸内細菌の善玉菌が殖え、整腸効果があります。

水溶性食物繊維の特徴
・粘性がある・・・粘着性があり消化管内を通過するのに時間がかかります。そのため腹持ちが良く感じます。小腸での糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖上昇を緩やかにます。
・吸着作用・・・消化管内で胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外へ排出します。

不溶性食物繊維の特徴
・保水性・・・消化管内で水分を吸収し膨らむ為、便のかさが増します。また腸を刺激し便通を良くします。
・比較的硬い・・・消化するためにはよく噛む必要があり、唾液や消化液の分泌を促します。またよく噛むことで食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」食物繊維の目標量
18歳~69歳では 男性20g以上/日 女性18g以上/日

(26年3月 厚生労働省)

国民健康・栄養調査による実際の摂取量は以下の通りです。

男性 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳
食物繊維 13.0g 13.2g 13.6g 14.8g 16.5g
うち水溶性 3.1g 3.1g 3.2g 3.3g 3.7g
うち不溶性 9.5g 9.6g 10.0g 10.8g 12.2g

女性 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳
食物繊維 11.8g 12.7g 12.8g 14.8g 16.4g
うち水溶性 2.9g 3.1g 3.0g 3.4g 3.7g
うち不溶性 8.6g 9.2g 9.4g 10.9g 12.1g

H24国民健康・栄養調査の結果より


食物繊維と生活習慣病

食物繊維の摂取との関連が検討された生活習慣病は多岐に渡ります。その例として、
・心筋梗塞の発症ならびに死亡 ・脳卒中の発症 ・循環器疾患の発症または死亡 ・糖尿病の発症
・乳がんや胃がんの発症 ・肥満 ・高血圧
 などがあげられます。
水溶性食物繊維に関してはLDL(悪玉)コレステロールに関連があるという報告もあるようです。
特に食物繊維摂取量との関連が明らかな生活習慣病は心筋梗塞です。食物繊維の摂取量と心筋梗塞のリスクは負の関連(摂取量が多いとリスクが下がり、摂取量が少ないとリスクが上がる)があると考えられています。どれだけの量の食物繊維を摂ればリスクが下がるのかという明確な基準はまだ判っていませんが、理想的には24g/日以上とされています。しかしこの量を毎日摂ることは難しいと思われる為、上記の摂取目標量が算出されています。
食物繊維は野菜、果物、穀物、いも、きのこ、海草、豆などに多く含まれ、肉、乳製品、魚介類にはほとんど含まれません。野菜には食物繊維のほか、ビタミン・ミネラル分が豊富なものが多く、旬の野菜を積極的に摂ることは体調を整える為にも有効です。


食品に含まれる食物繊維の量の表(可食部100gあたり)

大麦(押麦) 9.6g そば(ゆで) 2.0g 甘栗 8.5g オクラ 5.2g
オートミール 9.4g こんにゃく 2.2g 焼き海苔 36.0g 西洋かぼちゃ 4.1g
小麦粉
(中力粉)
2.7g マッシュポテト
(乾燥)
6.6g とろろこんぶ 28.2g ブロッコリー 3.7g
食パン 2.3g さつまいも 3.5g カットわかめ
(乾)
35.6g ほうれん草 3.6g
ごはん
(精白米)
0.3g 大豆(ゆで) 7.0g かんぴょう
(乾)
30.1g 干ししいたけ 41.0g
うどん(ゆで) 0.8g 納豆 6.7g しそ(大葉) 7.3g しめじ 3.7g

〔参考〕特定保健用食品・難消化性デキストリンについて
デキストリンはでんぷんの一種です。「難消化性デキストリン」は食物由来のでんぷんを加水分解し、難消化成分を抽出したもので、水溶性の食物繊維です。食事から摂取される食物繊維の不足を補う為に用いられ、体内では食物繊維と同じような作用で働きます。
安全性が高く、厚生労働省でも特定保健用食品(トクホ)として認可されています。トクホとしては「おなかの調子を整える」「糖の吸収を穏やかにし、食後の血糖値が気になる方に適している」「食後の血中中性脂肪の上昇をゆるやかにする」などと標記されています。ただし摂取により疾病が治癒したり健康が増進するものではありません。摂りすぎるとおなかがゆるくなることもあります。
水溶性のため飲料として製品化されているものが多く、食事と一緒に摂取することを勧めているものもあります。利用する場合は製品の注意書きをよく読み、一日の摂取量や目安量を超えない範囲で摂取するようにしましょう。


厚生労働省HP 「健康食品」のホームページ



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