朝食について

 新しい年度を迎え、皆さまお忙しい日々をお過ごしのことと思います。春は生活や環境が変わる時期であると同時に、気候や気温も不安定で体調を崩しやすい時期でもあります。
皆さまは朝食を食べる習慣はありますか?1日のよいスタートの為にも、その日1日の良いパフォーマンスの為にも、朝食でエネルギーを充電することは大切です。今月は朝食について考えてみましょう。

「朝食の欠食率は、男性12.8%、女性9.0%であり、前年と比べて、男女とも減少している」
                           厚生労働省 平成24年国民健康・栄養調査より

この数値を見てどう感じましたか?思っていたより少ない、もしくは多いと感じられたでしょうか。前年の調査との比較では、全世代平均の欠食率は減少しており、朝食を食べる習慣のある人が増えていると考えられます。しかし年代別の数値では、男女共に20~29歳が最も朝食欠食率が高く、男性は29.5%、女性は22.1%。次いで30~39歳が、男性25.8%、女性14.8%と高くなっています。これは社会人として働いている、若い世代での朝食抜きが多いということになります。逆に男女共に70歳以上と小中学生の7~14歳は3.6~4.5%程度と低い傾向にあります。欠食率は低いものの、高齢者の栄養不足や成長期の欠食は、健康に大きな影響を与えると考えられます。

朝食を食べない理由や原因
・生活リズムの夜型化 ・睡眠不足などで食欲がない ・ダイエットのため ・経済的理由 ・前日の夕食時間が遅い ・起床時間が遅く、時間がない ・個食や孤食(※) ・準備や後片付けが面倒 ・身支度に時間がかかる ・家族の世話に時間をとられる など
※個食:家族などが一緒にいてもそれぞれが別のものを食べること 孤食:1人で食事を摂ること

では、なぜ朝食を食べたほうがよいのでしょうか?朝食を食べることにより、心身に様々なプラスの影響があります。

体温が上がる(脳と身体を活発に動かす)、胃腸が動く(排便、消化器官の活動)、エネルギーの補給による脳と身体の活動力アップ、集中力アップ、やる気アップ、生活習慣病の予防(中性脂肪や血糖値に影響)、空腹感がなくなる、体内時計のリセット、など

一方、朝食を食べないことのマイナスの影響としては、次のようなことが挙げられます。

記憶力・学力の低下、疲労感、1日のエネルギー消費量の減少による肥満、低体温、空腹時間が長いことによる消化性潰瘍のリスクアップ、循環器疾患の発症リスクアップ、など

また「朝食を食べたり食べなかったりする人は、毎日食べる人よりメタボリックシンドローム(※)になるリスクが女性で4倍以上、男性で2倍近く高くなる」といわれています。
                               (第110回日本内科学会総会発表より)


※メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは
腹部の内臓の周りに脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のいずれか2つ以上を併せ持った状態。動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中といった命に関わる病気の発症につながりやすくなります。

文部科学省も提唱「早寝早起き朝ごはん」

近年、授業に集中できない子どもの増加や体力の低下など、生活習慣が深く関わっている問題が増えています。子どもの健やかな成長には、十分な睡眠とバランスの取れた食事、適度な運動など、規則正しい生活習慣が必要です。朝食の摂取は学力にも影響があり、毎日朝食を摂る児童生徒ほど学力調査の得点が高い傾向があります。
朝食を食べる保護者の子どもの方が、朝食の摂取率が高いこともわかっています。朝食を必ず食べる保護者の子どもは86.3%が朝食を必ず食べているのに対して、朝食を欠食する保護者の子どもでは53.0%と摂取率の少ない傾向がみられます。保護者の生活習慣に影響を受けていることがわかります。


「朝ごはん」を食べる為に

朝食を食べる習慣や時間のない方に、1日のスタートのエネルギーを無理なく補給する方法です。まずはステップ1から始めましょう。「何か食べないと物足りない」という感覚が身についたら次のステップへ進んでいきましょう。

ステップ1:時間がない人、食欲がわかない人、朝ごはんを食べる習慣がない人
→ヨーグルト、バナナ、おにぎり、シリアル、野菜ジュース、惣菜パンなどをまず一品
ステップ2:少し余裕のある人、食欲が出てきた人、朝何かを食べる習慣ができてきた人
→バナナ+ヨーグルト、スープ+トースト、おにぎり+味噌汁など、野菜ジュース+パンなどステップ1と組み合わせて
ステップ3:時間がある人、食欲のある人、朝ごはんを食べる習慣のできている人
→主食(ごはんやパン)+主菜(タンパク質のあるおかず)+副菜(野菜がメインの小さいおかず)+汁物など 作り置きや夕食の残り物などの準備しやすいものでOK 余裕があれば果物を足せるとなお良い

「家で食べる」以外にも朝食を摂るタイミングはあります。
・通勤途中で食べる:駅ナカ(駅構内の飲食店)で朝定食
・お店でモーニング:早朝から営業しているファミリーレストランやカフェでゆっくりと
・職場で食べる:コンビニなどで購入したり家から持参して、会社の自席や休憩場所で


朝食をコンビニで買う場合の選択
パンの場合:甘い菓子パンはエネルギーやブドウ糖の補給にはなりますが、ビタミン類やタンパク質などの栄養素が不足しています。できるだけタンパク質(卵、ハム、ツナなど)が入っている惣菜パンやサンドイッチなどを選びましょう。またサラダや、飲み物に野菜ジュースを加えると良いでしょう。
おにぎりの場合:具にタンパク質を使ったものを選ぶと良いでしょう。パンの時と同様に、野菜ジュースやカップ味噌汁などを足してみましょう。

家での朝ごはんメニューのヒント
忙しい朝は、一品で多くの食材が摂れる料理がお勧めです。
〈具だくさん味噌汁〉カットした野菜に加え、豆腐や玉子・豚肉などのタンパク質を入れると、栄養バランスが整います。海藻類や根菜を入れても良いでしょう。野菜は忙しい朝にカットするのではなく、前日の夕食準備時にカットし保存容器などに入れ、冷蔵庫で保存しておくと便利です。味噌は大豆製品ですので、タンパク質が含まれています。また麹による発酵食品でもあるため、ビタミン類やアミノ酸も豊富に含まれています。
〈スムージー〉野菜や果物に牛乳やヨーグルトを入れ、ミキサーにかけます。加熱しない為、野菜や果物のビタミン・酵素類が破壊されずに摂取できます。

朝食を摂ることで生活のリズムも整いやすくなります。元気な1日のためにも「朝ごはん」を見直してみましょう。

厚生労働省「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進について
農林水産省「めざましごはん」



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