冬の食中毒について

 みなさん、食中毒は夏だけではありません! 食中毒の患者数の約半分はノロウイルスによるものですが、うち約7割はこれからの10月~2月に発生しています。この時期の感染性胃腸炎の多くはノロウイルスによると考えられます。ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖しておう吐や下痢、腹痛などを起こします。また、感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため注意が必要です。特に子どもや高齢者は重症化を招き、吐いた物を誤って気道に詰まらせて死亡することがありますので注意が必要です。また、ノロウイルスの主な治療は対症療法に限られるので、予防対策が大切になります。

ノロウィルスの感染経路

感染経路は、ほとんどが飲食物を介して口から病原体が体内に侵入する経口感染です。 主に、「①人からの感染」と、「②食品からの感染」があります。

①人からの感染  ~患者の便や吐いた物から人の手などを介して二次感染する場合や家庭や施設内などで の飛沫などにより感染する場合などです。

②食品からの感染 ~感染した人が調理などをして汚染された食品を食べた場合や加熱が不十分な二枚貝などを食べることで食中毒が発生しています。


ノロウイルス食中毒の予防のポイント

ノロウイルスについてはワクチンがなく、治療は輸液などの対症療法に限られます。 従って、家庭などでできる予防対策の徹底が必要です。特に食品管理や身の回りの衛生面に注意しましょう。

〔日常生活で気をつけるポイント〕
①手洗いは帰宅直後、調理の前後、食事の前、トイレの後などに石けんを使って、指の間や爪の内側までていねいに洗いましょう。

②アルコール消毒は、風邪やインフルエンザ、微生物による食中毒の予防には効果的ですが、ノロウイルスにはあまり効果がないといわれていますのでご注意ください。

③魚介類を調理するときなど、「生食用」と表示のないものは中心部分を85℃以上で1分以上の加熱が推奨されています。

④まな板やフキンなど台所の調理器具は水で薄めた家庭用塩素系漂白剤で消毒しましょう。

⑤体調不良になるとウイルスに対する抵抗力が低下するので、普段から適度な運動を行い、栄養や睡眠などを十分にとって体調を管理しましょう。

〔感染拡大を防ぐポイント〕 周りの人がノロウイルスによる食中毒の感染が疑われる場合、次の点に気をつけて対処しましょう。
①便や吐いたものを片付けるときは、使い捨ての手袋やマスク、ペーパータオルを利用し、処理後はビニール袋に入れ、家庭用の塩素系漂白剤など消毒液を加えて密封して捨てましょう。

②汚れた床や家具、衣類、調理器具、食器などは水で薄めた家庭用塩素系漂白剤で消毒しましょう。その際、表示されている使用方法を確認しましょう。

③処理後は自分の手をていねいに洗いましょう。


ノロウイルス食中毒の症状

感染した場合、発症までの潜伏期間は24~48時間です。感染し、この時間が経過すると症状が出てきます。 主な症状は吐き気、おう吐、下痢、腹痛、発熱(38℃以下)が主症状です。通常、これらの症状が1~2日間続いた後に治癒し、後遺症が残ることもありません。 また、健康で体力のある方は、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。 このように、健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどの免疫力の低下した人では重症になり、吐いた物を誤って気道に詰まらせて死亡することがありますので、特にご注意が必要です。


感染したときの対応

ノロウイルスの感染が疑われた場合は、直ちにかかりつけの医師や最寄りの保健所に相談してください。 現在は、ノロウイルスの抗ウイルス剤はないため、対症療法が行われます。 とくに、体力のない乳幼児や高齢者は脱水症状や体力を消耗しないように、水分と栄養補給をしっかり行うことが重要です。下痢止め薬は病気の回復を遅らせることがあるので、使用は控えるようにしましょう。


参考: 厚生労働省ホームページ ・ 東京都福祉保健局


過去の健康かわら版はこちら

このページのトップへ戻る

財団のご紹介

お問い合わせ

診療時間 平日(月~金)9時~17時
人間ドック/健康診断
 TEL:03-3213-0099
外来診療
 TEL:03-3213-0094
巡回健診
 TEL:03-3214-7531
会員制人間ドック
 TEL:03-3212-2864
 FAXは全て共通:03-3213-0097

その他ご案内