健康かわら版 7月号 「夏の皮膚疾患(あせも・水虫)」について
各地で梅雨明けの便りも聞こえだし、夏らしい暑い日が多くなってきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。日本の夏の特徴は「高温多湿」です。気温の暑い時期は発汗で体温調節をしますが、その汗がなかなか蒸発しにくいのが日本の夏です。今月はこの時期に気になる皮膚トラブルのあせも(汗疹)と水虫(足白癬)についてお話します。
皮膚の汗腺から分泌される液体で、その役割は主に体温調節です。皮膚表面の水分(汗)が蒸発するときに身体の熱を奪い、体温を下げる効果があります。気温が高いときや、運動や感染症などで体温が高くなっているときには、より多く汗をかき体温を調節しています。また、緊張や辛いものを食べたときなども発汗は促されます。
汗の成分・・
汗の99%は水分です。残りの1%には塩化ナトリウム(塩分)や微量のミネラル類・タンパク質・尿素などが含まれます。
あせも(汗疹)
汗をたくさんかいた時に、汗腺のつまりによって生じます。汗疹には3種類あり、それぞれ詰まる部位(深さ)が異なります。
水晶様汗疹 | 紅色汗疹 | 深在性汗疹(※) | |
発疹の形態 | 直径1〜3mm程度の小水疱 | 赤い丘疹が多発 | 皮膚色の扁平に隆起した丘疹が敷石状に多発 |
汗腺の状態 | 皮膚表面の角質層で汗腺が塞がった状態 | 皮膚内(有棘層)で汗腺が塞がった状態 | 真皮内で汗腺が塞がった状態 |
自覚症状 | かゆみや痛みなし | かゆみやチクチクした軽い痛み、熱感など | 丘疹部には汗をかかない為、熱中症や全身倦怠感、めまい・動悸などの全身症状 |
治療 | 特別な治療は必要なく、自然治癒が見込める | 炎症を抑えるために塗布薬などを使用 | 高温を避け、涼しい環境で生活し、自然治癒を待つ |
※深在性汗疹は熱帯地方や、高温多湿の環境下での長時間の作業時などに発生するもので、通常日本ではほとんどみられません。
汗疹の予防
汗をかいたまま放置すると、皮膚表面の汗腺の出口が詰まりやすくなります。汗をかいたら清潔な濡れタオルでやさしく拭いたり、シャワーで洗い流したりするようにしましょう。また通気性・吸水性の良い衣類を着たり、エアコンなどで室内を除湿することも効果があります。
水虫(足白癬)
白癬菌が足などの皮膚の角質層に住み着き、炎症を起こすことで水疱やかゆみなどを起こします。菌の定住場所が皮膚の角質層のため、細菌感染を排除する血液の仕組みも効きません。また皮膚の新陳代謝よりも繁殖スピードが遅いため、自然治癒も期待できません。
・趾間(しかん)型:足の指の間がふやけたり、逆に乾いた鱗屑(りんせつ:剥がれそうな角質)がある発赤が見られる。
・小水疱型:足底などに半米粒大の小水疱が集まってできる。かゆみを伴い、膿を持つこともある。春から夏にかけての高温多湿の時期に悪化し易い。
・角質増殖型:かかとなど足底全体の皮膚が厚くかたくなり、細かい落屑(剥がれた角質)が生じる。かゆみが無く、冬の乾燥した時季にも軽快はしない。
※陰金(股部白癬)・白雲(頭部白癬)などと呼ばれる皮膚疾患も白癬菌によるものです。それ以外の部位の感染は(田虫)(体部白癬)と呼ばれます。
※爪の中に感染したものは爪白癬といい、爪の肥厚・変色・変形などを起こします。単独の感染は少なく、多くは足白癬に併発します。
水虫の治療
白癬菌はカビ(真菌)の一種なので、抗真菌剤を使います。塗布薬には液剤と軟膏がありますが、患部の状況に合わせて処方されます。また角質増殖型や爪白癬には内服薬も適応されます。完治させるためには症状が無くなってからも、2ヶ月間くらい薬の塗布を続けることが勧められています。
水虫は白癬菌による感染症なので、菌を足や身体につけないことが大切です。感染者とは足拭きマットの共用を避けたり、靴やスリッパの共用も避けます。そして足を清潔に保ち、蒸れを避け、白癬菌の繁殖に都合の良い高湿度になることを避けます。サンダルやメッシュなどの通気性の良い靴を履いたり、靴下を頻繁に履き替えたりすることも有効です。また、感染者も同居する家族や他の人に移さないように注意することが必要です。足を清潔に保ち治療を継続すると共に、清潔な靴下を履き菌のついた落屑を落とさない、他者との直接の接触を防ぐなどを心がけましょう。
肌を清潔に保つことで、不快な皮膚症状を避けることができます。汗をかくことの多い季節は特に気をつけましょう。
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