健康かわら版 9月号 「咳喘息」について

 現在日本では生活環境の著しい変化により、喘息(気管支喘息)患者が急増していると言われていますが、咳喘息(せきぜんそく)という病名をお聞きになったことはありますか?

咳喘息とは?

咳喘息は喘息と区別され、慢性的に咳が続く気管支の病気です。喘息の前段階で約3割が咳喘息に移行するとも言われています。

咳喘息の症状は?

咳喘息にかかると1ヵ月以上、空咳が続きます。ヒューヒュー、ゼイゼイといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難はありません。発熱や痰もほとんど出ません。夜中から明け方に多く、夜眠れない人もいます。寒暖の差や喫煙で咳が出やすくなり、喉にイガイガ感を伴う場合もあります。咳の発作が激しいときは、胸の痛みを感じたり、嘔吐・失神することもあります。風邪に併発して起こることが多く、風邪が治った後も2~3週間咳が続いたら、咳喘息の可能性があります。

原因は?

室内外の温度差(クーラーの使いすぎ)や喫煙・タバコの煙を吸う受動喫煙、運動、飲酒、ストレス等の他、家のほこりやダニ・ペットの毛などのハウスダストが原因になるといわれています。アレルギーのある人や女性に多い傾向もあります。健康な人なら何でもない軽い刺激でもアレルギー反応によって気道が炎症を起こしてしまうのです。

どんな検査が必要?

咳が長引く場合、気管支炎・肺炎・結核・肺がん・副鼻腔炎・心不全・百日咳・アトピー咳嗽などの可能性もありますので、それらの病気がないないか鑑別する必要があります。聴診・胸部X線検査やアレルギー反応を確認するための血液検査を行い、肺機能検査(肺活量・酸素濃度等)をする場合もあります。それと同時に詳しい問診が診断の決め手になりますので、状態を医師に伝えられるようにすることが大切です。
(①咳はいつから出ているか ②どういう時に出るか ③痰は出るか ④熱や喉痛はあるか ⑤喉がゼーゼー言うか ⑥胸やけや、むせる感じはあるか ⑦アレルギーはあるか ⑧家族に同様の症状はあるか ⑨服用中の薬はあるか 等)

どんな治療?

咳喘息の場合、風邪薬や抗生物質・普通の咳止めを服用してもほとんど効果がありません。喘息の治療に準じて、気管支拡張剤やステロイドの吸入や内服で気道の炎症を抑えます。症状がよくなってきたからといって、すぐに治療を止めてしまうと再発することがあるので、数ヶ月間は続けます。自然に治ることもありますが、喘息への移行を阻止するためにも早い段階での適切な治療が大切です。

予防するには?

風邪やインフルエンザにかからないように注意する。
風邪の流行時は外出時にマスクを着用し、人ごみは避けて外出から帰ったら手洗いうとうがいを徹底しましょう。
喫煙、受動喫煙に気をつける
タバコの煙は気管支を刺激して咳の回数を増やします。本人の禁煙はもちろんですが、周囲の人にも禁煙を分煙してもらいましょう。
飲酒を控える
お酒を飲むと体の中にアセトアルデヒドという物質ができます。この物質は気道を収縮させて咳を起こしやすくします。飲みすぎには注意しましょう。
アレルギーを起こさない環境を作る
アレルギーを引き起こす原因となるアレルゲンの排除に努めましょう。
気温の変化に気をつける
急激な気温の変化は咳を誘発します。春や秋は外出時の服装に注意しましょう。また、室内と室外の温度差にも気をつけます。
ストレスをためない
ストレスの原因となる過労を避け、充分な睡眠や休養をとりましょう。
食生活に気をつける
バランスの良い食生活をしましょう。食物アレルギーのある人はアレルギーの原因となる食品に気をつけましょう。

また、長期喫煙者で咳が長く続き、咳止めを飲んでも止まらない場合は、最近急増中の慢性閉塞性肺疾患(COPD)かもしれません。COPDは長期喫煙(受動も含め)が主な原因で起こる肺の炎症による病気です。

いずれにしても「咳だけだから」と放置せず、早めの専門医への受診をお勧めします。

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